東京都練馬区本性院『コミカル仁王像』

東京都練馬区の豊島園駅の真ん前に、通りの左右全てが11軒のお寺で構成されておりドン詰まりは墓地という、不思議な場所「田島山(練馬)十一ヶ寺」があります。そして寺院群のひとつ「本性院」には、ひときわ目を引く手作り感満載の2体の仁王像がいらっしゃいます。

田島山十一ヶ寺 の入口。明暦の大火や関東大震災の2度の大火により寺院が焼失、2度の移転を経て現在の場所に移転したのが昭和初期ということで、比較的新しい造りのお寺が目立ちます。

本性院の外観がこちら。資料には創建年不明、浄土宗の寺院で本尊は阿弥陀如来とあります。綺麗にお掃除された境内や篆書体の寺額もステキなのですが、先ず目に飛び込んでくる仁王像の存在感が大きすぎてそれどころではありません。

油性マジックで描いたような眉毛の阿形像。カッと目を見開いた表情は迫力満点です。下げた手の五指を広げ内側に向けるのは仁王像によく見られる表現ですが、マッチョ感不足のためか、無理に曲げた肘関節が心配になります。「肘痛てえ!ギブギブギブ!」とか言ってるのかも。

こちらは吽形像。阿形像よりも一層極太な眉毛に、強く結んだへの字口。吽形像の表情は「内に秘めた怒り」を表しており、確かに「何だか分からないけどすごく怒っている」様子が伝わってきます。金剛力士というより、ジャージの似合う熱血体育教師といった感じ。

こちらは2体の脇にいる「天燈鬼」と書かれた邪鬼の木像。こちらもかなりユーモラスな表情。邪鬼っていつも四天王や青面金剛に踏みつけられてますので、開放感からの笑顔なのかな。よくセットで目にする、頭で灯籠を支える「龍燈鬼」も以前は居たのかもしれませんね。

本来、仁王像は仏敵の寺院内への侵入を防ぐ目的がありますが、2体ともその造形やマッチョ成分不足のためか、守護神としては頼りなく感じてしまいます。GANTZの仏像編でこんなのが相手ならラクショーだったかも。

お寺にいらした方にお話を聞いたところ、全ての木像は先代のご住職さんが作られたようです。その素朴な造形や表情にほっこりすること請け合いですので、仏像好きな方もそうでない方もぜひ拝観してみて下さい。

ちなみに田島山十一ヶ寺には、境内にメタルスライムのようなアート作品が存在する林宗院、蕎麦を食べる地蔵「蕎麦喰(そばくい)地蔵尊」のいる九品院など個性的なお寺が揃ってます。としまえんは惜しまれつつ2020年に閉園してしまいましたが、この地域の新しい観光スポットになってもらえたら嬉しいです。

住所  東京都練馬区練馬4丁目25-5 浄土宗本性院

アクセス 西武豊島線 豊島園駅から徒歩1分

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