静岡県沼津市の「穴ぼこ(盃状穴)道祖神」

沼津市の旧東海道沿いに、プッツンした承太郎のスタープラチナにボコられたような、穴だらけの道祖神様がいらっしゃいました。何でこんな姿になっちゃったの?

件の道祖神様は、桃里中町のバス停のすぐ脇にひっそりと立ってます。付近に駐車できるスペースは無かったので、近くの商店に承諾を得て駐車させて頂きました。後ほどお礼にと総菜コーナーで里芋の煮っころがしを買ったのですが、甘みとネットリ感が強く大変美味しかったです!それはさておき。。

なんで道祖神様がこんなことに?海岸の岩石に稀に見られる、風化して出来た「タフォニ※」と呼ばれる風化穴ともまた違う、大小30か所以上に上る穴、穴、穴の数々。

※集合体恐怖症の方は「タフォニ」で画像検索しないように!

特に頭頂部の穴は大きく、ソフトボールが余裕で入る大きさ。道祖神じゃなくて、もしかしてすごく前衛的なカタチの花活けだったりして?いや、資料には単体座像道祖神とあるし辛うじて合唱する手が見えるし、恐らく伊豆型の道祖神なんでしょうが。。

調べてみたところ、信州には子供が「こんぼーた、こんぼーた」と囃して石でコツコツ叩き、いつしか穴が開いてしまった道祖神が有るといいます。男児の出産を願って叩いたところもあると言うので、子供がそれを真似ていたのでしょうか。子供の行為に性教育の意味があったという説もありますし。

そういえば死んだばあちゃんが、子供のことを(主に動物の仔や虫の幼虫の事だったけど)奥三河の方言で「こんぼー」と言っていたな。ともあれ子供の遊びや悪戯にしては数が多いから、何かしらの宗教的な意味があるんじゃないかなと。身体の良くなってほしいとこを叩く、とかね。

神様にそんなことしていいの!?と思われるかもしれませんが、各地の道祖神やお地蔵様のお祭りには、首を縄で縛って雪の中を転がしたり、ろうそくを立てまくって火を付けて燃やしたり、茶わんをぶつけたりやお餅を塗りたくったりと結構バイオレンスなものが現存しますので、上記のような理由も大いに頷けるところであります。

ちなみに駐車場を貸してくれた商店のおばちゃんは、この道祖神の存在すら知らず目を丸くしていました。由来に関しては引き続き調べてみたいと思います。

そういえば、三鷹市の新川にある春清寺に多摩大仏を見に行った時、こんな風に顔に穴の開いた菩薩様がありました。風化や剥落にしては局部的だし、廃仏毀釈にしては手が込んでいると疑問に思っていましたが、これも人々の願いや祈りを受けて穴が開いてしまったものなのかもしれませんね。こうした穿穴(盃状穴)のある石仏は関東を中心に多く分布しているらしいので、また見に行こうと思います。

以上、静岡県沼津市の「穴ぼこ道祖神」のレポートでした!由来を記した立て看板や資料が無くこうなった経緯は不明ですが、日本の神の多様さ、度量の深さを垣間見られる大好きな石仏になりました。あと、こうした「気の利いた不思議」が路傍に転がりまくっている日本に、感謝です!

住所  静岡県沼津市桃里 桃里中町バス停の隣り

アクセス JR東田子の浦駅から徒歩15分 (駅からバスあり)

駐車場 無し 道路は交通量が多く駐車できません

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です