熊谷市長福寺『しかめっ面の馬頭観音』

『全国の馬頭観音を訪ね歩きたい』そんなふうに考えていた時期が私にもありました(by刃牙)。しかし、あるときふと気づいたのです。

『馬頭観音様、数多すぎ!』

全部追っかけてたら命が幾つあっても足りない!という訳で、これからは個性的なものをセレクトして訪ね、すでに訪問したものを含めてこちらで紹介していこうと思います。

馬頭観音とは

板橋区成増 青蓮寺の馬頭観音像

六観音の一つで、役目は畜生道に迷う人々の救済。由来はヒンドゥーの最高神ビシュヌが馬頭に変化して敵を倒した神話です。観音様と聞いて思い浮かべるのは柔和な表情ですが、馬頭観音は憤怒の表情が多いです。畜生道に迷う人々の煩悩に激オコなので、怒りの表情をしているらしい。

お姿は一面二臂から四面八臂、座像から立像まで多種多様。指で印(馬口印という馬頭観音特有の印)を結んでいるだけの方も有れば、刀や斧など大量の武器を携帯して睨みを利かせる方も。ちなみにおでこの馬は、人間の煩悩を食べつくす役割が有るとされます。

しかめっ面の馬頭観音がいらっしゃる埼玉県熊谷市の長福寺。JR熊谷駅から徒歩30分あたり。創建年代は不明です。人けは無くひっそりとしていましたが、境内や建物は綺麗に整備されていました。

境内の通路沿い、石仏が並ぶ中に三面八臂(3つの顔に8本の腕)でしかめっ面の馬頭観音様がいらっしゃいました。三面共に憤怒の表情なのでしょうが、怒りというよりは、母ちゃんに叱られてふてくされているような感じですね。おでこの馬の表情が、たれ目で柔和なのも対照的で面白い。

建立は寛政十年(1798)。こう見えて結構古いものなのですね。私はごっつい仏像や絢爛豪華な仏像よりもユーモラスで親近感の湧く神様が好きなので、この馬頭観音様はかなりのお気に入りです。

周囲に立つ他の馬頭観音。このように『馬頭観音』の文字のみ掘ったタイプも多く見られます。中世以降に馬の守護神、旅の守り神として急速に信仰の広まった馬頭観音は、全国にそれこそ無数に、おそらく天文学的数字で存在していると思われます。

そして数が多いという事は、バリエーションも豊富という事。姿かたちも違えば、例えば農耕馬の供養、動物の救済、厄除け、道中の安全祈願など信仰のカタチも多種多様です。競馬場の近くに、競走馬供養で建てられていることもあるんですよ~。

詳細やデータベースとしての役割はその道の専門家の皆様にお任せして、当ブログでは面白い特徴を持つ馬頭観音様たちを、入門用して紹介してゆく予定ですのでお楽しみに!

以上、熊谷市長福寺の『しかめっ面の馬頭観音』でした。

所在地 埼玉県熊谷市佐谷田3488 青雲山長福寺

宗派 真言宗智山派

TEL 048-523-6350

駐車場 有り

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