悲しき受難系石造物「ショケラさん」の謎

数年前、とある庚申塔を撮影していて、青面金剛像が鷲掴みにしている奇妙な人物に気が付きました。それこそが「ショケラ」と呼ばれる受難系の石造物です。石仏界隈の皆様には説明不要な代物ですが、出会った中でも特に特徴的なショケラをご紹介していきたいと思います。

こちらの青面金剛像を見て何かにお気づきでしょう。そう、左手に小さな人を髪の毛鷲掴みにして持っているのです。それが「ショケラ」と呼ばれる石造物です。

強面の青面金剛に持ち上げられて、観念したように合掌、悲しげな表情を浮かべるショケラさん。基本的にその姿は半裸の女性です。実はショケラ自体は小さく見えますが小人ではなく、青面金剛との対比によるサイズ感です。以下、諸説ありますが女性に怒られそうなショケラの由来を記します。

仏教用語の障碍等(しょうげら:悟りの障害になるもの)がなまってショケラとよばれるようになった。ショケラは人間を病気にしたり悪事を働くため、庚申さんが頭髪をつかんで押さえつけている説

庚申信仰では「庚申の日の夜に交わった男女は泥棒の子を産む」と信じられていた。そこで庚申様が女人の髪を捕まえて大人しくさせ、男衆がムラムラしないようにしている説

当時の価値観や道教の教義によるものですのでお見逃しを。。まあ確かに、別にそこ男でもインジャネ?と思いますし、現代じゃ男女逆のシチュエーションが多い気もしますが。

無の境地に至り無表情なもの、不敵な笑みを浮かべて脱走の機会を伺うものなど、その姿や表情は様々。たまに何故か満面の笑みのショケラもお見かけします。

ちなみに青面金剛でも「合掌型」のものはショケラをほとんど持っておらず、剣などの持物を持った「剣人型」に多く見られます。いや、合掌型でもショケラを持つ「岩槻型」も存在するため気が抜けません(何がだ)。

ショケラ自体の数が少ない事に加え、多くの石仏と同様にショケラも風化著しいものが多いため、その表情まで読み取れるものは貴重です。青面金剛像自体も、六臂(腕六本)じゃなくて二臂である事も珍しいですね。

なおこちらの青面金剛がいらっしゃるのは、神奈川県寒川町の小動(こゆるぎ)神社境内です。以前は屋根があったと思われる台座に、地神塔などと一緒に祀られています。銅の鳥居や綺麗に整備された境内も見どころですので、ご興味のある方はぜひ。

ショケラさんが置かれた状況は悲惨極まりないものですが、その姿はどこかユーモラスで個性的で、石仏探索がより楽しくなる石造物です。特徴的なショケラをチョイスしてまた投稿しますので、お楽しみに。合掌。

以上、悲しき石造物「ショケラさん」に関するお話でした!

所在地 神奈川県高座郡寒川町小動480

駐車場 小動集会所前に駐車

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